EMSトレーニングの効果は?行う上での注意点とは

EMSトレーニングとは、筋肉に電流を流し、その刺激によって筋肉の収縮運動を促し、筋肉を鍛えていくというトレーニング法です。もともとは、医療用に開発されたもので、スポーツ選手のリハビリなどに使用されていたものです。近頃は、効率よく筋肉が鍛えられることから一般的に人気があり、器具も多く市販されています。

手軽に手に入るので、自宅でEMSトレーニングを行うことも可能ですが、安全に効果的に実施するためには、すこし注意しなければならないこともあります。

EMSトレーニングとは

EMSとは「Electrical Muscle Stimulation 」の略で、電気的な筋肉の刺激というような意味になります。文字どおり筋肉に電流を流します。そう聞くと、なんだか怖い感じもしますが、もともと筋肉運動は脳からの命令による電気信号によって起こるものなので、そう遠いものではないと言えます。

筋肉は器具などにより直接受けた電流によって、脳からの指令と同様に収縮運動を行います。自分の意思で筋肉を動かさなくてよいので、トレーニングが苦手な人や、慣れていない人でも効率的に筋肉運動を行うことができるのが特徴でもあります。重い負荷やキツイ動きをしなくてよいため、病後や療養後の筋力の回復のためのリハビリに用いられるのはこのためです。

時間的にも、非常に短い時間でトレーニングができます。約20分のトレーニングで通常のトレーニングの約4時間分の効果が得られると言われます。そして、言ってみれば勝手に筋肉が運動していてくれるので、家事など他の用事をしながらEMSトレーニングを行うことも可能です。こういう点からも、EMSトレーニングは効率的だと言われています。お腹まわりや二の腕、脚など、ピンポイントで筋肉を鍛えたり引き締めたりして、ボディメイクできるのもポイントです。

また、EMSトレーニングを行うことには、単に筋肉を鍛えられること以外にもメリットがあります。それは、筋肉が増えることによって、基礎代謝量が上がることです。基礎代謝量とは、脳や体内の器官の活動など自分自身が動いていなくても消費するエネルギー量のことです。基礎代謝量が上がると、カロリーを消費しやすくなる体質になれます。

EMSトレーニングで使われる周波数は?

EMSトレーニングでは、電流を使って筋肉運動を行いますが、その時に流す電流の強弱は「Hz」という単位で表します。Hzは1秒当たりに振動する回数を表します。1Hzは1秒間に1回振動する電流という計算になりますが、EMSトレーニングに適しているのは約20Hzだと言われています。

これは、京都大学名誉教授が運動医科学研究により導き出した研究結果で、筋肉が張力を保つのに最も適した周波数だとのことです。それより高い周波数では、筋力が維持できず低下してしまいます。そして、20Hzの電気運動が最も筋肉が酸素を消費するという結果も報告されています。筋肉は運動によってエネルギーを使い、酸素を消費します。酸素が消費されるということは、トレーニング効果が高いということになります。

また、インパルスという、脳内から送られる筋肉を動かすための指令の電気刺激は約20Hz~30Hzと言われており、つまりは自然の筋肉運動のための電気刺激により近いということになります。身体への負担のことを考えると、自然に近い電流の強さであれば安心感がありますよね。

しかしながら、他の研究結果では、1000Hz以下の刺激では、皮膚下2㎜~3㎜程度にしか伝わらないということも分かっています。1000Hz~2000Hzの中周波では皮膚下3~4cm、2000Hz~3000Hzの高周波で、やっと10cm以上届くということです。そして、干渉波と言われる複数の電流の波では、広く筋肉を刺激することが分かっています。

それがどういうことかと言うと、深部のインナーマッスルと言われる部分まで、電流を流して動かし、EMSトレーニングによって鍛えるには高周波と干渉波の刺激を与えることが効果的だということになります。

EMS装置の正しい使い方

EMS装置は、今ではインターネットでも手軽に手に入れることができます。値段も安いものから、プロが使用するような本格的なものまでピンからキリまであり、迷ってしまうほどです。

でも、いちばん大切なのは、それらの正しい使い方でしょう。いくら性能がよくても使い方が正しくなければ、十分な効果が得られないばかりか、身体に悪影響を与える危険もあります。EMS装置の正しい使い方をご説明します。

機器によって大きさや形状が違いますが、外出時や家事など用事をしながら装着したいのであれば、パット型でワイヤレスのものが便利でしょう。そして、薄型のものもたくさん出ているので、自分に合った製品を選びましょう。

そして、正しい使い方ですが、製品の形状や性能によっても違うので、まずは基本的に取り扱い説明書をよく読みましょう。価格が低い輸入品などでは取扱説明書が充実していないものもありますが、注意点をよく理解しておくことが大切です。

そして、パットを貼り付ける位置も大切です。パットを貼った部分の筋肉を意識してみて、電流がしっかりと伝わっているかチェックしてみましょう。何も感じなければ、取扱説明書を見直して貼り直してみます。電気が伝わっていなければ効果もないので、位置を調整しながら刺激が十分に伝わる位置を探してみましょう。

そして、効率よく全身の脂肪を燃焼したいならば、身体の大きな筋肉から鍛えていくことをおすすめします。大きな筋肉が鍛えられることで、基礎代謝量が上がり、痩せやすい体質になれるからです。身体で、大きな筋肉は太ももやお尻などの筋肉になります。順番として、多くの女性が気になる二の腕などより先にお尻や太ももから始めるほうが、全身のダイエットやシェイプアップには効率的だということです。

市販の装置でも効果はあるの?

インターネットで検索すれば、ピンからキリまで数多くのEMS装置を見つけることができます。値段も数千円で手に入るものから、プロがジムで使用するような性能の高いものまでいろいろです。

ジムに通うことができれば、インストラクターの指導のもと、細かな設定まで各自に合わせて効果的にEMSトレーニングを行うことが出来ますが、市販のものを買って、自分でトレーニングを行うのであれば、しっかりした取り扱い説明書があるものがいいでしょう。そして、安全性が保障されていることはもちろんですが、購入後のアフターサービスなどの点もチェックしましょう。その点を考えるとやはり、正規のメーカーのものが安心です。

そして、形状も様々あります。代表的なものをご紹介します。まずは、ベルト型です。お腹や二の腕、足などに巻いて使うタイプで、固定しやすいので何か別のことをしながら行う、ながらトレーニングにも適していると言えます。ただ、サイズが合わないとトレーニング効果が得られないことと、鍛えられる位置が決まってしまうことがデメリットでもあります。

そして、パット型も一般的です。衣服の下につければ、他人から付けていることが分からないので、外出時などにも便利です。また、鍛えたいところに自由にピンポイントに装着することができるメリットもあります。大きさもお尻やお腹、太ももに使う大きめのものもあれば、ふくらはぎなど小さな部位に使用するためのコンパクトなサイズのパットもあります。

そして、マット型になっているものもあり、座ったまま足を乗せて、足の筋肉を鍛えたり引き締めたりできるものもあります。足腰が丈夫でない高齢者や病後の体力のない方でも気軽に使用できます。ジェルパットなども必要ないので、ランニングコストもかかりません。

その他に、グローブ型で、手にはめて引き締めたい部分に充てて使うものや、ハンドル型になっていて、握って二の腕などを引き締めるためのものなど、様々あります。自分の目的や体力、生活に合わせて選ぶといいでしょう。

EMSトレーニングのメリット

EMSトレーニングのメリットをまとめてみます。まず、EMSトレーニングの人気の秘密は重い負荷をかけ、自分の意思できつい運動をしなくても、筋肉を鍛えることが出来る点でしょう。自分の意思で筋肉を動かし、きつい運動をするのはなかなか大変で続かないことも多いですが、電流の力で勝手に筋肉が動いてくれるわけですから、精神的には楽です。

また、その時間の短さも大いにメリットだと言えます。ふつうのトレーニングで3~4時間ほどかけて行う運動効果を、たったの20分で得られることは、忙しい現代人にはありがたいことです。特に、運動不足によるメタボが気になる年齢の、40代~50代の働き盛りのサラリーマンなどは仕事が忙しく、ジムに通ったり、運動したりする時間もなかなか自由に取れないのが現実でしょう。

EMSトレーニングは、継続することが重要ですが、週に2~3回、1回20分行えばよいので、忙しい人でも無理なく生活に取り入れられます。主婦の方も家事や育児に追われて、自分のためにジムに通う時間が取れないことも多いです。そのため、自宅で家事など他のことをしながらでもトレーニングできるEMSはぴったりかも知れません。

また、重い負荷が必要ないので、体力のない高齢者でも行うことができるのもいい点です。いくら付けるだけでもよいとはいえ、筋肉運動を組み合わせたほうが効果的ですが、ふつうの筋トレのようなキツイ運動は必要ありません。普段運動になじみがなく筋肉量が少ない人の方が、効果も出やすいです。

そして、EMSトレーニングによって筋肉量が増えれば、なんといっても基礎代謝量がアップします。基礎代謝量が高ければ、消費するカロリーが多くなるので、単純に太りにくく、痩せやすい傾向があります。そして、結果として全身の血行もよくなり、若々しい身体になることが出来るでしょう。

EMSトレーニングの注意点

このようにメリットも多いEMSトレーニングですが、装置の使い方、トレーニング法を誤ると効果が十分に得られなかったり、身体に悪影響を及ぼしたりする恐れもあります。EMSトレーニングを行う際の注意点を見てみましょう。

ジムなどに通うのであれば、インストラクターの指示通りに行うので心配がありませんが、自分で自宅などでEMSトレーニングを行う際にまず、気を付けなければいけないのは、健康上のことでしょう。ペースメーカーや人口肺など電磁医療機器と併用して使わないことが大事です。また、装着する位置にも気を付けましょう。心臓に負担がかかる可能性があるので、心臓に近い場所には装着しないようにしましょう。心臓疾患や妊娠中など、健康上に不安がある場合も避けるか、医師に確認してから行なうようにしましょう。

トレーニングを行う頻度ですが、これは効果を早く表したいからと言って、やみくもにたくさんやればよいというわけではありません。筋肉運動をすると、筋肉が疲労し、筋組織が多少なりとも損傷します。それを休めるためにも同じ部分に毎日長時間行うことは避けましょう。また、トレーニングして刺激を与えた筋肉は、翌日休ませている時間に修復され、成長するので、筋肉を効果的に増やすためにも休息し、ながらトレーニングすることが重要です。

そして、同じ部分を続けて行うのは筋肉痛や筋肉のダメージにつながるので、少しずつ位置をずらして装着し、時間を守るようにしましょう。長時間の装着は、筋肉の損傷や、低温やけどなど皮膚のダメージにもつながります。

EMSトレーニングが効果的な時間帯

短い時間で行うことが出来るEMSトレーニングですが、トレーニングを行うのに適した時間帯というのもあります。人間の身体のリズムに合わせて行った方が効果も出やすく、身体への負担も少ないのでベストだと言えます。筋力トレーニングに関しては、夕方が効果が出やすいという研究結果があります。でも一番大切なのは、継続できることなので、それぞれの生活リズムに合わせたスケジュールで行うのがベストでしょう。

また、EMSトレーニングの実施時間は約20分が基本になっています。時間が長すぎると、身体や皮膚に負担がかかる可能性もあるので、気を付けましょう。そして、トレーニングを行ったら翌日は休むなど、筋肉を十分に休息させることがポイントです。実際、週3日行った場合と、週5日行った場合との効果の差はほとんどないという研究結果もあるのです。筋肉運動後、休息する間に筋肉は修復され、成長すると言われています。また、筋肉運動後、脂肪燃焼の効果は、運動を止めてもその後一定の期間続いているので、その間は筋肉を休め、有酸素運動など、脂肪燃焼のための運動をすると効果的です。

また、食事の時間との関係ですが、食べてすぐや、何も食べないで空腹のままトレーニングするのもよくありません。ベストなタイミングは、食後、血糖が上がり始める1時間くらいしたころで、トレーニングを行って、糖分をエネルギー源として燃焼してしまうことがポイントです。

ダイエットと相性がいい?

ダイエット目的でEMSトレーニングを行うには、有酸素運動も同時に行うことをおすすめします。EMSトレーニングでは筋肉を増やすことが出来ますが、脂肪を燃焼するには有酸素運動が必要です。そもそも筋肉自体は重量が重いので、筋肉を増やすことで体重が減るという効果はありません。脂肪を燃焼してダイエット効果を期待するならばぜひ、EMSトレーニング後に軽い有酸素運動も取り入れてみましょう。有酸素運動で脂肪も燃焼しながら、筋肉量を増やして基礎代謝量を上げることが、EMSトレーニングによる効果的で健康的なダイエット法だと言えます。

また、EMSトレーニングを行っているからといって、好きなものをいくらでも食べていいということでもありません。やはり、ダイエットの効果をねらうなら、食べ過ぎや食事の内容にも注意したほうがいいでしょう。筋肉を程よくつけるためには、筋肉の材料となる質の良いたんぱく質が十分に摂れて、脂肪が多くない、低カロリーの食事が効果的です。筋肉が程よく増えることで基礎代謝量が上がり、痩せやすくなるため、ダイエット効果も大きくなるのです。

そして、EMSトレーニングがダイエットに適している特徴として、引き締めたい部分をピンポイントで鍛えたりできる点が挙げられます。大きな筋肉から始めたほうがいいと述べましたが、大きな筋肉を鍛えて基礎代謝量を上げ、痩せやすい体質にしてから自分の気になる部分を引き締めていくという順序が効果的です。また、大きな筋肉を鍛える際に、まわりの筋肉も付随して鍛えられます。

トレーニング後の筋肉痛のケア

EMSトレーニングは、人工的に筋肉に電流を流すことによって筋肉運動を起こすので、脳からの指令による筋肉運動と比べ、筋肉痛などになる可能性が高くなります。自分で筋肉を動かす場合は、筋肉の状態に応じて運動を調整できますが、EMS機器により電流を流す場合は筋肉の状態によって出力を調整することが難しくなります。そのため、筋肉痛がひどくなってしまうこともあります。

筋肉痛とは、筋組織が微細な断裂がいくつも起こり、筋肉が損傷した状態です。筋肉痛になった時のケアの方法としては、血流をよくすることがポイントです。痛みがあるとつい、さすったりマッサージしたりしたくなりますが、強いマッサージは筋線維をさらに傷めてしまうので避けましょう。血行をよくするために痛くないくらいに手のひらや指の腹で軽くさするのは良いようです。

また、ウォーキングなどの筋肉に負担をかけない軽い有酸素運動も血行を良くするのでおすすめです。その他には、入浴がおすすめです。ストレッチをする時は、ゆっくりと無理をせずに行いましょう。

まとめ

EMSトレーニングは短時間でも効率的に筋肉を引き締め、理想の体型を目指すことができるので、忙しい人にぴったりのトレーニング法です。いろいろなタイプのものが市販され、ジムに通えなくても、自宅で手軽に行うことができます。

でも、自分ひとりでトレーニングを行うには、気を付けないといけないポイントもあります。まずは、しっかりした製品で、アフターケアも充実したものを選ぶことが大事です。そして取扱説明書をよく読み、正しい使い方をしましょう。

そして、無理して長時間行ったり、連日使用したりすることは避け、筋肉を休息させながら上手に利用しましょう。

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